営業時間を過ぎ、無人になったオフィス。デスクには電話機が置かれ、窓の外には夜景が広がっている

営業時間が終わったあとや休業日にかかってくる電話。留守番電話に切り替えてはいるものの、実際には誰からの何の用件だったのか分からないまま終わっている——そんなケースは少なくありません。

この記事では、営業時間外の電話に対応する代表的な4つの方法を仕組みから整理し、自社に合う方法の選び方、そして「営業時間外だけ」自動応答にする2つの設定方法までを解説します。

営業時間外の電話を放置すると何が起きるか

営業時間外の電話は「営業時間中にかけ直してくれるだろう」と考えられがちですが、実際にはそうならないことが多くあります。特に新規の問い合わせでは、つながらなかった時点で次の候補へ移られてしまいます。

具体的には、次のような損失が積み重なります。

  • 新規顧客の問い合わせが競合に流れる ─ 相手は複数社に連絡しており、最初につながったところで話が進む
  • 予約・注文の取りこぼし ─ 予約可否を確認したいだけの電話でも、つながらなければ他店に切り替えられる
  • 既存顧客の連絡に気づけない ─ 折り返そうにも、留守番電話に名乗りがなければ誰からか分からない
  • 「つながらない会社」という印象が残る ─ 一度の不通が、その後の問い合わせ自体をためらわせる

とはいえ、すべての時間帯に人を配置するのは現実的ではありません。人件費だけでなく、深夜・休日の対応が特定の担当者に集中すれば、労務上の問題にもつながります。「人を増やさずに、用件を取りこぼさない仕組み」をどう作るかが論点になります。

営業時間外の電話に対応する4つの方法

実務で選択肢になるのは、次の4つです。それぞれ仕組みが異なり、向いている場面もはっきり分かれます。

1. 留守番電話

  • 追加コストが小さい
  • 用件が整理されない

応答メッセージを流し、そのあとに発信者の声を録音する方法です。電話回線の付帯機能として使えることが多く、導入のハードルは最も低いといえます。

一方で、録音された音声を最初から聞かなければ内容が分からないという制約があります。名乗らずに切られれば誰からか分からず、折り返しもできません。用件が項目ごとに整理されていないため、担当者への引き継ぎには結局のところ人手による転記が必要です。営業電話も等しく録音される点も、確認の手間を増やします。

2. 電話転送

  • 緊急の用件に即応できる
  • 担当者の負担が大きい

かかってきた電話を、担当者の携帯電話など別の番号へ転送する方法です。人が直接応対するため、急ぎの用件にその場で対応できます。

ただし担当者が実質的に24時間拘束されることになり、深夜・休日の負担が特定の人に集中します。転送先までの通話料も契約者側の負担となるのが一般的です。さらに、営業電話も同じように転送されるため、時間外にかかってくる電話の多くが対応する必要のないものだった、という状況も起こります。

3. 電話代行(有人対応)

  • 人が柔軟に応対する
  • 月額費用が高くなりやすい

オペレーターが会社名を名乗って応対し、用件を聞き取って報告するサービスです。人が対応するため相手の受ける印象がよく、想定外の質問にもある程度その場で対応できます。

反面、オペレーターの人件費が料金に反映されます。同等の一次受付を行う前提で比べた場合、自動応答型より月額費用は高くなる傾向があります。また、自社の業務に踏み込んだ専門的な質問には答えられないこと、対応時間が契約内容で決まっている場合があることにも注意が必要です。

4. IVR(電話自動応答)

  • 用件を整理して受け取れる
  • 24時間の一次受付ができる
  • 複雑な相談には不向き

IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答)は、自動音声ガイダンスで発信者に用件を選択してもらい、内容に応じて振り分ける仕組みです。「ご予約の方は1番、営業時間のご確認は2番」といった案内は、いずれもIVRにあたります。

振り分けた先をどう扱うかは、製品や設計によって幅があります。有人のオペレーターや担当部署へつなぐ使い方もあれば、そのまま氏名・電話番号・用件を聞き取って担当者へ知らせ、人が電話に出ない運用にすることもできます。営業時間外の一次受付として使う場合は、後者の構成が中心になります。

留守番電話との違いは、必要な情報を項目ごとに受け取れる点です。録音を最初から聞き直す必要がなく、届いた内容を見て優先順位を判断できます。

ただし、ひと口にIVRといっても製品の幅は非常に大きく、大規模なコールセンター向けの高機能なものから、小規模事業者向けの安価なクラウド型までさまざまです。受け付けた内容の届け先(メール・チャットツール・CRM連携など)、分岐の複雑さ、時間帯や曜日による切り替えの可否、同時に受けられる通話数、料金体系は製品によって大きく異なります。自社にかかってくる用件の量と、必要な機能に照らして比較する必要があります。

向き不向きとしては、感情的な対応が求められる場面や、その場でのやり取りが前提の複雑な相談には適しません。導入時にガイダンスの文言と分岐を設計する手間がかかる点も、留守番電話との違いです。

IVRの仕組み ─ 着信から通知までの流れ

IVRを検討するときは、実際に電話がどう処理されるのかを把握しておくと設計の判断がしやすくなります。基本的な流れは次のとおりです。

IVRの基本的な処理の流れ 着信すると会社名入りのガイダンスが再生され、発信者が番号を選択します。選択に応じて予約・問い合わせ・その他などに振り分けられ、氏名・電話番号・用件が受け付けられて担当者へ通知されます。 着信 会社名入りの ガイダンスを再生 発信者が 番号を選択 1番 予約 2番 問い合わせ 3番 その他 用件を受付けて 担当者へ通知
番号ごとに何を受け付けるかを決める工程が、そのままIVRの設計になります。

設計の要は発信者に番号を選ばせる工程です。ここで何番に何を割り当てるかが、そのままIVRの使い勝手を決めます。用件の種類が多い場合は「1番を選んだあとにさらに1〜3番」という多段階の分岐も組めますが、階層が深くなるほど発信者が途中で切る割合は増えます。選択肢を絞って浅い構成にするほうが、結果として受け付けられる件数は増えます。

4つの方法を比較する

ここまでの内容を一覧にすると、次のように整理できます。

  留守番電話 電話転送 電話代行 IVR
対応の形 録音のみ 人が直接応対 オペレーターが応対 自動音声が応対
用件の聞き取り 音声のまま その場で会話 オペレーターが聞き取り 選択式で振り分け・受付
担当者への通知 なし(自分で確認) 不要(本人が対応) 報告を受ける 製品により異なる
人の稼働 確認作業が必要 常時必要 外部に依存 設計による
営業電話 等しく録音される 等しく転送される オペレーターが判断 自動音声で一次選別
費用感 低い 通話料が発生 高くなりやすい 製品により幅が大きい
向いているケース 件数がごく少ない 緊急性が高い業務 丁寧な応対が必須 定型的な用件が多い

営業時間外にかかってくる電話は、予約・営業時間の確認・所在地の問い合わせといった定型的な用件が大半を占めることが多くあります。その場合、人が応対しなければならない場面は限られるため、IVRによる一次受付との相性がよくなります。

自社に合うのはどれか ─ 3つの判断軸

業種よりも、実際に判断を左右するのは「誰から・どれくらい・どんな用件で」かかってくるかです。次の3つの軸で自社の状況を整理すると、選ぶべき方法が絞れます。

軸1:かけてくるのは誰か

既存の取引先や得意先からの電話が中心なら、担当者が直接応対できる電話転送が向きます。相手は用件を伝える相手を選びたいことが多く、一次受付を挟むとかえって手間に感じられる場合があるためです。一方、新規の問い合わせが中心であれば、まず用件を受け付けて後から折り返す形で十分に成立します。

軸2:1日に何件かかってくるか

時間外の着信が1日数件までなら、留守番電話でも運用できます。件数が増えるほど「録音を最初から聞いて内容を書き起こす」手間が積み上がるため、用件が項目ごとに届くIVR(電話自動応答)の利点が大きくなります。件数の多さは、そのまま人手の消費量に直結します。

軸3:用件は定型的か、個別対応が必要か

予約・営業時間・場所の確認といった定型的な用件が大半を占めるなら、自動応答で完結します。相手の話を聞いたうえで判断が必要な用件が多いなら、人が応対する電話代行が向きます。

3つの軸を組み合わせると、次のように整理できます。

3つの軸から見た、向いている対応方法
かけてくる相手件数用件向いている方法
既存の取引先が中心少ない個別性が高い電話転送
新規の問い合わせが中心少ない定型的留守番電話
新規の問い合わせが中心多い定型的IVR
新規の問い合わせが中心多い個別対応が必要電話代行
取引先と新規が混在多い混在IVRで振り分け、必要な用件だけ転送

ここまでが方法の選び方です。次に、業種ごとに時間外の電話がどんな内容になりやすいかを見ていきます。

業種別の考え方

同じ「営業時間外の電話」でも、かかってくる用件の中身は業種によって大きく異なります。代表的な4業種について、時間外の着信に特有の事情と、実際の導入事例を紹介します。

飲食店

時間外の電話は予約の申し込みと、営業時間・席数・定休日の確認が中心です。内容が定型的なためIVR(電話自動応答)と相性がよく、予約についてはWeb予約ページへ案内する導線を組み合わせると、電話そのものを減らせます。ランチ・ディナーの繁忙時間帯に電話が集中する場合は、営業時間内であっても一次受付を自動化する選択肢があります。

クリニック・医療機関

診療時間外の問い合わせは、診療時間・休診日・予約の可否といった定型的な質問が多くを占めます。一方で、急を要する症状の相談が含まれる可能性がある点には設計上の配慮が必要です。ガイダンスの冒頭で救急の場合の案内を明示し、それ以外の用件を受付へ振り分ける構成が現実的です。クリニックで電話自動応答を導入する場合は、この振り分け設計が最初の検討事項になります。

宿泊施設

フロントが少人数体制になる夜間・早朝が課題になりやすい業種です。チェックイン対応中に電話が重なると、目の前の顧客対応と電話対応の両方が止まります。予約確認・アクセス・チェックイン時間といった定型の問い合わせをIVRで受け、対面業務を中断させない運用が効果的です。

士業・一人事務所

面談・外出・出廷などで電話に出られない時間が長く、かつかかってくる電話に占める営業電話の比率が高いのが特徴です。自動音声による一次受付を挟むと、用件を選択せずに切れる営業電話も出るため、手元に届く連絡を絞り込みやすくなります。

「営業時間外だけ」自動応答にする2つの方法

「営業時間中は今までどおり人が出て、時間外だけ自動応答にしたい」という要望はよくあります。この時間帯の切り替えには、大きく2つのやり方があります。

方法A:電話会社の時間帯転送を使う

契約している電話会社が提供する時間帯転送(時間帯によって転送先を切り替える機能)を利用する方法です。営業時間中は転送せず通常どおり着信させ、営業時間外と休業日のみ自動応答サービスへ転送するよう設定します。自動応答サービス側が時間帯の設定に対応していない場合でも、この方法であれば運用できます。

方法B:自動応答サービス側で設定する

着信を常に自動応答サービスへ転送しておき、サービス内で営業時間や休業日を判定させる方法です。時間帯ごとにガイダンスの内容や振り分け先を変える、営業時間中は担当者へつなぎ時間外は用件の受付に切り替える、といった細かい制御ができます。ただし、この機能に対応しているかは製品やプランによって異なります。

時間帯による営業時間内・時間外の振り分け お客様からの着信は、いま使っている電話番号で受けます。時間帯で振り分ける設定により、営業時間中は社内で応対し、営業時間外と休日は自動応答が用件を受け付けて担当者へ通知します。振り分けの設定は、電話会社の時間帯転送か、自動応答サービス側のいずれかで行います。 営業時間中 営業時間外・休日 お客様の着信 いまお使いの 電話番号 時間帯で 振り分け 社内で応対 自動応答が 用件を受付 担当者へ通知
時間帯の振り分けは、電話会社の転送設定(方法A)でも、自動応答サービス側の設定(方法B)でも行えます。
設定時の注意

方法Aは、時間帯転送の有無・設定方法・料金が契約中の電話会社やプランによって異なります。方法Bは、自動応答サービス側の対応状況によります。どちらで運用するかは、ご利用中の回線と検討中のサービスの両方を確認したうえで決めるのが確実です。

いずれの方法でも、いま使っている電話番号をそのまま利用できます。顧客へ新しい番号を案内する必要はなく、名刺やWebサイトの記載を変更する必要もありません。転送設定を変えるだけで運用を始められる点が、番号を新規に取得する方式との大きな違いです。

参考:ProxyVoxの場合

ここまで一般的な選択肢を整理してきましたが、参考までに、当社が提供している電話自動応答システム「ProxyVox(プロキシーボックス)」がどの構成にあたるかを紹介します。

ProxyVoxは、前述の4つのうちIVR(電話自動応答)にあたるサービスです。会社名入りのオリジナルガイダンスで応答し、発信者の氏名・電話番号・用件を項目ごとに受け付けて、メール・LINE・Slack・Chatworkへ通知します。24時間365日の自動応答に対応しており、いずれのプランでもいまお使いの電話番号への転送設定で運用できます。番号を変更したり、お客様へ新しい番号を案内したりする必要はありません。

できることの範囲は、プランによって異なります。ライトプランは、用件を受け付けて担当者へ通知するシンプルな一次受付です。時間帯の切り替えが必要な場合は、前章の方法A(電話会社の時間帯転送)と組み合わせて運用します。

カスタマイズプランでは、前章の方法B(サービス側での時間帯設定)に対応するほか、用件に応じて担当者・部署へ電話をつなぐ有人転送や、多段階の分岐を設計できます。自動応答だけで完結させるか、自動応答と有人対応を組み合わせるかを、業務に合わせて選べます。

よくある質問

営業時間外の電話対応について

Q営業時間外だけ自動応答にできますか?

はい、可能です。方法は2つあり、電話回線側の時間帯転送機能で営業時間外だけ自動応答へ転送する方法と、自動応答サービス側で営業時間を設定する方法があります。前者は電話会社の仕様、後者は製品やプランによって対応が異なります。ProxyVoxでは、サービス側での時間帯設定はカスタマイズプランで対応しています。

Q今使っている電話番号をそのまま使えますか?

はい、現在ご利用の電話番号への転送設定でそのまま使えます。番号を変更したり、お客様へ新しい番号を案内したりする必要はありません。

Q留守番電話と自動応答(IVR)は何が違いますか?

留守番電話は発信者の声をそのまま録音するだけの機能です。IVRは自動音声ガイダンスで用件を選択してもらい、氏名・電話番号・用件を項目ごとに受け付けます。受け付けた内容の通知方法は製品によって異なり、ProxyVoxの場合はメール・LINE・Slack・Chatworkへ即時通知します。

ProxyVoxについて

Q24時間365日対応できますか?

はい。ProxyVoxはライトプラン・カスタマイズプランともに24時間365日の自動応答に対応しています。深夜・早朝・休業日を問わず、一次受付が可能です。

Q導入に初期費用はかかりますか?

ProxyVoxのライトプランは初期費用なし、月額2,980円(税込)のみでご利用いただけます。カスタマイズプランは初期費用・月額料金ともに内容に応じた個別見積となります(お見積り自体は無料です)。

Qどのくらいの期間で始められますか?

ProxyVoxのライトプランは最短即日で利用開始できます。カスタマイズプランはヒアリングとシナリオ設計が必要なため、内容によって期間が異なります。

このほかの質問はよくある質問にまとめています。

まとめ

営業時間外の電話対応は、次の3ステップで整理できます。

  1. いまの状況を3つの軸で把握する 誰からかかってくるか、1日に何件か、用件は定型的か
  2. 方法を選ぶ 取引先中心なら電話転送、件数が少なければ留守番電話、定型的な用件が多ければIVR(電話自動応答)、個別対応が必要なら電話代行
  3. 時間帯の切り替え方を決める 電話会社の時間帯転送(方法A)か、自動応答サービス側の設定(方法B)か

営業時間外にかかってくる電話は、予約・営業時間・場所の確認といった定型的な用件が大半を占めることが多くあります。その場合、すべてに人が応対する必要はなく、用件を項目ごとに受け付けて担当者へ届ける仕組みがあれば取りこぼしは防げます。まずは自社の時間外着信がどんな内容なのかを把握するところから始めるのが確実です。

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